「?!☆※?↑↓♂?♀!★?!!」
シエルの口から到底人間が出せるモノとも思えないほど素っ頓狂な叫び声が
上がり、腕を振りかぶった姿勢で眼を見開いて硬直する。志貴が目の前に突き
付けたそれは、まるで魔物を封じる護符のような効果をシエルに与えていた。
志貴も身を捻って右手でそれを突き付けていたが、指先の感覚だけではそれ
が何であるかの確信は抱けなかった。だが、確信はなくとも志貴には機先を制
して攻撃を掛けるには、感触による推測だけでも十分だった。
志貴もシエルにそれを突き付けて、初めて何であるかが眼で確認した。
「う、ぁ、ぁ、ぁぁぁ……」
志貴に手を突き付けられた恰好で、シエルは喉からうめき声を漏らす。
シエルは目の前にあって目線が離せず、志貴もそれを自分の腕と肩越しに眺める。
志貴の手が掴んでいたのは、ピンク色のプラスチックで出来たコントローラー
と、それにコードで繋がったローターであった。それも箱に入った訳ではなく、
剥き出しのローターがぶらぶらと、妙に緊張感が無く志貴の手の下で振り子を
描いていた。
もちろんそれは、医療用とか産業用とか軍用とかそういう物ではなく、至っ
て下世話な楽しみのためのアイテムである。
――先輩が、こんな物持ってただなんて
あたかも、それを取り出した志貴でさえも一瞬なんと言ったらいいのか分か
らない心境に襲われていた。ましてや、自分のタンスの中からそれを引っぱり
出されたシエルの狼狽はいかばかりか。
敷きは、ぶらぶらと振り子を描くローターの向こうに、驚きと恥ずかしさと
呆気にとられたシエルの顔を見ていた。そして、凍り付いたままの動きのシエ
ルを見ると、なぜか不意に人の悪い笑いが頬に自然と浮かんできた。
――これは、ひょっとすると……
「……いや、先輩のタンスの中にこんなモノがあるだなんて……」
「……うう、それは、遠野くん……」
「もちろん俺も、こんなモノが先輩の持ち物にあるとは知らなかったし、ある
とも思っていなかったんだよね」
志貴は指でローターの振り子に勢いを付けたかと思うと、そのまま半回転し
てぱしっと手の中に握り込む。そして、突きつけていた手をようやく引いて手
元に寄せ、改めてローターをしげしげと眺める。
シエルの方も、振りかぶった姿勢を説き、手を後ろに組んでそわそわしている。
シエルの姿は制服で、志貴と同じく学校帰りであったようだった。
「俺も先輩といろいろえっちしたけど、こういうのは初めて見るなぁ……」
なにやら感慨深そうに志貴はそう呟き、手に握ったローターとコントローラー
をひっくり返したり覗き込んだりと弄ぶ。そして、目をちらりとシエルの方に
向けると、そこには恥ずかしさのあまり消え入りたい、というようなシエルの
赤い顔がある。
どくん、と志貴の中で嗜虐心がうずく。
――先輩の、もっと恥ずかしがる姿を見たい
いつしか志貴が覚えたことのある、妖しい熱を帯びた欲望。
志貴は、笑いながら一歩シエルとの間を詰めた。シエルは赤くなったまま志
貴を見つめ返しているが、逃げようとはしない。
「これ、先輩が持っていたと云うことは……先輩、ひとりえっちの時に使って
いたの?」
「と、ととと、遠野くん!それは……」
「いや、先輩も女の子だからひとりえっちしててもおかしくないよ、うん、そ
れを責めている訳じゃないし」
妙なしたり顔で頷きながら、志貴はまた一歩、間を詰める。
逃げることも忘れて立ち尽くすシエル。
「でも、あの時から先輩とは結構えっちしているからね……先輩、もしかして
俺が先輩の家に来ていないときに、ずっとひとりエッチしているの?」
「そ、そんなこと……ないです……」
いつものシエルらしくないしおらしい様子で、力無く答える。だが、その言
葉が逆に志貴の中の欲情を煽り、さらにシエルに対する言葉責めの火に油をそ
そぐ事になっていた。 志貴はまたシエルに近づき、二人とも手を伸ばせば肩
を抱けるほどの間に狭まっていた。志貴は笑いを押し殺して、シエルに話しかける。
「じゃぁ……俺と出会う前に、一人えっちしてたの?」
「…………ずるいです、遠野くん、そんな……」
「ね、先輩……」
志貴は左手でシエルの腰に腕を回し、抱き寄せたかと思うとローターを握っ
たままの右手を、ひたりとシエルの頬に押し当てた。
プラスチックの感覚を感じたシエルは、びくん、と身を竦ませる。
志貴はシエルに当てていた手を僅かに握り変え、人差し指と親指で小さな卵
形のローターを摘む。そして、それをシエルの頬に当て、残りの指で器用にコ
ントローラーを触ったかと思うと――
「あ――」
ビィィィィーン、というモーターが唸る音が、部屋の中に響き渡る。
その音を耳に聞き、頬に当てられたローターから伝わる細かい震動に、おも
わずシエルの口は声を漏らしていた。
志貴は笑いもせず、妙に真面目な顔でシエルの頬にローターを宛っていた。
「ね、先輩……どうなの?」
さわさわ、と肌の上をローターが這う。
そう尋ねながら、志貴の指はローターを摘んだままシエルの頬を、口元を、
顎筋を、そして耳に走って震動の刺激を与え続ける。
顔に震えるローターを当てられているだけなのに、シエルはその位置が変
わるたびにあっ、あっ、と声を上げながら悶えている。そして、どうなの?
と志貴は執拗に繰り返しながら、ローターを操る。
「先輩……どうだったの?」
シエルにとっては、甘美な快楽の拷問であった。志貴の顔が間近に寄り、二
人の眼鏡がぶつかり合うほどに顔を寄せ、志貴の熱い息が頬に掛かる。そして、
耳に口を付けた志貴が、耳孔から脳へとまるで蜜の味をした毒を吹き込むよう
に囁く。
「どうなの……先輩?気持ちよかったの?」
びくん、とその言葉にシエルは震えたかと思うと――
「はい、気持ちよかったです、遠野くん……」
単調なモーター音にまるで催眠術を掛けられたように、シエルの口はそんな
言葉を紡ぎだしていた。
志貴はうっすら笑い、ローターをシエルの唇に当てる。赤い唇は僅かに湿り、
その唇を揺らすローターは酷くいやらしい。
「そう、かぁ……じゃぁ、先輩……」
志貴は顔を寄せ、そのまま――ローターを唇でシエルの口の中に押し込んだ。
志貴の舌は震えるままに任せるローターを感じ、そしてシエルの唇を押し割っ
てぬるりと熱い濡れた口腔の体温を感じ取る。そして、シエルの舌の上でうご
めき続けるローターを載せる。
「ん……んぅ……ん……」
志貴とシエルの舌が、唇が絡み合って淫らな水音をぴちゃりぴちゃりと立て
る。志貴は腕を背中に回し、シエルも脇の下から志貴に腕を回していた。二人
とも舌でローターを転がし、口腔に押し付け、唇の間で挟む。
志貴の頭が角度を付けるためにずれ、そして僅かに離れると……
二人の唇の間に、唾液でつっと橋が出来る。志貴はローターを歯で銜え、そ
のコードを腕を放して摘む。
ローターは震えながら、ぬらりとした二人の唾液に絡まっていた。濡れたピ
ンク色の卵状の、いやらしい塊をまた目の前に見せられて、シエルはとろける
ような瞳を眼鏡の多くに見せていた。
「先輩、きっとこんな風にローターをドロドロにしてひとりえっちをしていた
んでしょ?」
「…………。」
シエルはこくん、と首を縦に振って頷く。もはや観念したらしく、目の前に
据えられた濡れたローターを見つめ、まるでそれが魔術の徴であるかのように
魅入られている。
シエルは志貴の背中に腕を回したまま、そっと口を開く。
「だって……私だって女の子なんですよ?遠野くん……その、やっぱりしたく
なることはありますから……でも、それは……」
「そう、じゃぁ……今の先輩はえっちしたいの?」
そう志貴は囁いて、シエルの身体にぐっと自分の身体を押し付けた。情欲に
駆られた志貴の股間は制服のズボン越しにも堅く脹らみ、それをシエルの太股
にぐい、と押し当てるのだからシエルも堪らない。
両太股の間に押し入るような志貴の脹らみを感じ、シエルはあぁ、と切ない
吐息を漏らした。
「したいです、遠野くん……遠野くんのおちんちんが欲しいです……」
「……先輩も正直だね。じゃぁ、そんな先輩にひとつお願いがあるんだけど……
いいかな?」
志貴はローターを下げ、にっこりと笑って見せる。身体を抱き寄せられ、熱
い男性の脹らみを押し当てられているシエルは、ぼうと熱い顔でその志貴の表
情を酔ったような瞳で見つめている。
シエルは、言葉を失ったかのように頭を動かす。
志貴は腕を動かしてシエルの抱き寄せる腕を外すと、片手に握っていたロー
ターを渡してこう、ゆっくりと告げる。
「これで、先輩がするところを見せて欲しいんだ――そうしたら、先輩の中に
たっぷりと注いで上げるから」
そう言い様、ぐい、と志貴は腰を突き上げ、シエルの足の付け根に逸物の脹
らみを擦り上げる。まるで、立位で挿入するような動きに、シエルの喉は物欲
しげに鳴った。
シエルは手に渡された自分の濡れたローターを眺め、志貴の顔を顎を引いて
拗ねたような顔で見つめる。そして、ぼそぼそと小さく口を動かして答え始める。
「……私がオナニーをしたら、その、遠野くんは……えっちしてくれるんですか?」
「うん、約束する。だから……先輩?」
シエルは抗うことなく、はい、遠野くんだったら、と――答えた。
志貴は満面の笑みで頷くと、手を離してシエルを立たせようとした。シエル
は両手でローターとコントローラーを握っていたが、膝が立たないらしく立ち
方にずいぶん頼りないところがあった。
志貴が見守る中で、シエルはしばし立ち往生していた。志貴はシエルがどう
いう風にして、自分の前で自慰を始めるのかを、興味津々の瞳で見つめていた。
シエルはスカートの腰に手をのばすと、そのまま――すとんとスカートを落とした。
「あ、先輩……もう濡れてるんだ……」
「そ、そんなことないです、遠野くん」
スカートを下ろし、志貴の前に下半身はショーツ一枚に靴下という姿になっ
ているシエルは、志貴の言葉にそんな風に抗弁をして見せた。だが、その言葉
とは裏腹に……シエルの内股は愛液で塗れそぼり、ショーツにも染みが広がり、
かすかに青みの混じった黒い陰毛が透けて見える。
「や、だ……そんな……」
下半身を無防備な格好で立つシエルは、自分の股間を隠そうと手を伸ばした。
だがその手を志貴に取られそうになるとと、ふらりと後ろにバランスを崩して
倒れ込んだ。
幸いそこは絨毯の敷かれた床ではなく、柔らかいベッドの上だった。図らず
もシエルはベッドの上に腰を下ろし、足と腰を志貴に向けている格好となった。
すかさずシエルが足を閉ざして志貴の目から遠ざけようとするが、志貴はそ
んなシエルの足の間に割って入っている。志貴の手がシエルのふくらはぎを触
り、そのまま広げると――
「お願いです、遠野くん、そんな開かないでください……」
「だってこうしないと、見えないよ?先輩」
志貴はそういいながら、床に腰を下ろしてシエルのショーツ越しの股間に顔
の高さを合わせる。志貴の手が外されても、シエルは足をベッドの上で開いた
まま、背を起こして志貴の期待に満ちた瞳を感じていた。
シエルは志貴の前に、愛液で濡れてしまった内股と、青いショーツのコント
ラストを変えて濡れる股間を余すところ無く見せつける形になっている。シエ
ルは手に握ったままのローターを、ようやく気がついたように握り直す、。
いつの間にかスイッチが切れていたローターをシエルは片手に、そっと指を
伸ばしてシエルは、自分の濡れそぼったショーツの上に当てた。
「あっ……うん……」
指がショーツの脹らみを押し、シエルは密やかに声を上げる。そして、志貴
の目が自分の指と股に刺さりそうなほど注がれているのを知りながらも、シエ
ルは恥ずかしさよりも快感を求めて指が動いてしまうのを知る。
わさわさと人差し指で秘部の上をまさぐったかと思うと、湿ったショーツの
脇から指を入れ、粘液で溢れたシエルの花弁の中を探る。指にシエルの膨らん
だ大陰唇が絡み、その中の襞も濡れてシエルの指をぬるりと中に導く。
志貴の目には、布越しに妖しく動くシエルの指の姿が映っていた。初めて目
の前で見る女性の自慰行為に、志貴は興奮を隠しきれない瞳で見据えていた。
「あ……遠野くん……見てます、か……」
「うん、先輩、先輩の指があそこの中でぐちゃぐちゃと動いているのが見えるよ。
先輩、気持ちいいの?」
志貴の言葉がシエルの有様を説明すると、びく、と指が止まって内股がひく
ひく震える。シエルは顔を起こして志貴の目を見ると、熱に浮かされるような
顔で答えた。
「気持ちいいです、遠野くん……だから、私の恥ずかしい所を……」
〈続く〉
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