2 鳥籠(とこ)の夢

2-1 <フランス・民家>


 つめたいあめのよる。
 わたしは雨音に紛れて父の寝室へと向かう。

「ああ、また来たのか、エル」

 父は蒼褪めた顔で悲観したように言った。
 関係を持ってから一年、いつのまにか父はわたしを「エル」と呼ぶようにな
った。
 近所の人たちは「エレイシアちゃんとお父さんはずいぶん仲がよろしいのね
」と口々に言っている。 でも実は「エル」が愛称なんかじゃないことをわた
しはちゃあんと知っている。
 「エル」は「elle」 三人称代名詞。英語でいう「she」にあたるもの。わた
しのことじゃない。

 わたしは父へとしなだれかかり、布団へと手を潜らせる。

「やめるんだ、エル」

 父の制止の声は弱弱しい。わたしはエルなんて名前じゃないから止めてあげ
ない。

 父にキスを浴びせかける。そうして父の頬に鎖骨の窪みを押し当て、なぞる
ようにゆっくりと、最近膨らんできたばかりの胸の曲線を顔に押し当てるのだ。
 
 つきはでていない、うすぐらいよる。
 わたしのバストの丸みへと、父の息が吹きかかる。荒々しい息、求めるよう
な息遣い。ふくらみかけの乳房にその息はくすぐったく、そして熱い。

 父のペニスを探り出し、輪にした指を雁首に引っ掛ける。指の輪の中で最初
は柔らかさを持っていたそれは次第に膨らみ、硬くなっていく。父の乾ききっ
た眼があてどもなく、空をさまよっている。
 ペニスは指で押さえずとも上を向くくらいの硬さを保って反りかえっていた。
掌から脈動が伝わる。
 輪にした指でくにくにと揉みしだきながら、残りの三本の指をペニスに絡ま
せてさわさわと撫でる。
 わたしが指を動かすたびに、しゅっしゅっと乾いたこすれる音がたつ。

 程なくして先端の切れ込みから雫が浮き出してきた。剥けあがった包皮を刺
激しながらそれを指ですくいとる。指にまとわりついた露を口元へと運ぶ。舌
に広がるわずかな苦味と、鼻をつく牡の匂い。
 わたしは腰をかがめ、充血したペニスを手前に引いて胸元へと誘う。なだら
かな膨らみに硬くなったそれを押しつける。亀頭がわたしのささやかな谷間に
半分だけ沈んだ。

 風に揺らぐ遠くの灯り。雨で滲んだその光は頼りなく、窓が滴で打ちつけら
れるたびにぼんやりと霞んで光は遠のく。
 
 埋没した肉の強張りを胸のなかでむにゅむにゅと挟みこむ。父は躯を捻じり
逃れようとした。わたしは父にもたれかかり、腰が浮きかけていたのを捕らえる。
 部屋に来る前には白く褪めていたわたしの膚は、父と抱き合うことで淡いピ
ンク色にぽっと燃えあがる。くびれに汗が滲み、前髪がしっとりと額に貼りつく。
 唾液を胸のふくらみに垂らす。粘りをもった唾液でてかる乳房は、挟みこん
だペニスを軽やかに撫でて、裏筋をなぞる。
 乳房の上を滑る肉の強張りは、ひくひくと震えている。固くしこってきた乳
首へと、濡れたペニスを塗りつける。ぬらぬらと液でべたついたペニスの粘膜
が乳首に吸いつき、いやらしい匂いを蒔きつける。ペニスの先端の切れ込みが
わたしの乳首を押し潰し、優しく弾く。ペニスと乳首を離すと、先汁がぬらり
と粘る糸を引いて、とてもいやらしい眺めだった。
 私は指をアソコへと這わせていた。父が見えるように、わたしも父と同じだ
ということを見せつけるように、わたしの濡れそぼった恥ずかしい場所を、私
は犬がおしっこするような格好で脚を広げ、お露を垂らした割れ目を父に見せ
びらかす。

 まだ熟成していない割れ目は、脚を広げたくらいではそのなかのものを晒す
ほどには開かない。縦線のうえを指でさする。軽く触れただけなのに、疼きは
じわじわとシーツの染みになって漏れ出してくる。
 おもらししたみたいに濡れたアソコは、今にも中身が蕩けだしてしまいそう
に自分からほぐれていく。ひくひくとわななく膣口がちょっとだけ割れ目から
姿を見せた。そのほころびからまた汁がこぼれている。薄暗い部屋のわずかな
光は、濡れそぼった個所と肌をくっきりと光らせ照らし出す。
 
 ふわふわと浮びあがりそうな感覚。まだほとんど弄ってないのに、もうイっ
てしまうかもしれない。足が浮いて、引きつりそうなくらい指先まで伸ばされる。

 わたしの愛液をたっぷりと含んだシーツ。今晩だけじゃなく、昨晩もその前
の晩も、わたしの恥ずかしい汁や時にはおしっこを垂れ流したシーツにはとこ
ろどころに染みが残っている。私はそのシーツをさらに汚すべく、濡れた秘裂
をシーツに押しつける。ざらざらとした木綿の繊維は柔肉へと絡みつき、粘膜
の水気を吸いつくすばかりか、敏感な肉芽をこすり絞ろうとする。わたしの肉
付きが薄く細い腰は寄せてくる快感の波にこらえきれず、背中と胸をぶるぶる
と痙攣させる。胸に埋没していたペニスも振動のなかで揉みしだかれて、今に
も達しそうなくらいに昂ぶっていた。
 
 ひくつくペニスの包皮を乳首で弄りながら、わたしは父を見あげる。

「アア、そんな眼で見るのは止めてくれ、エル……!」

 ペニスの裏筋を舌に乗せ、亀頭をにゅっと唇で挟みこむ。胸から口への愛撫
の変化に我慢しきれず、はりつめていたものが噴出する。わたしはタイミング
を計り、しゃくりあげるペニスを唇で圧迫して噴き出す白濁の勢いを抑えつつ、
より多くの量を吸い出すように啜りあげる。

 ねちゅ……ねちゅるる……ちゅぷっ……
 舌のうえから流れ出したゼリー状のスペルマは、歯に絡みついてなかなか喉
の奥へと飲みこめない。「……んんっ。……ちゅ……んくっ……ん……」
 唾液混じりの精液が唇の端からこぼれる。飲みきれない精液を指ですくって
わたしの乳首と尿道口に塗りたくる。
 そうして肉芽を荒々しくつまみながら、膣口を優しくなぞりあげる。尿道口
から膣口の入り口に精液が伝って流れ落ちる感覚。あまりの気持ちよさにおし
りをもじもじとさせてしまう。

「ふぁ……っ……はぅんっ……」

 じゅちゅちゅ……ずちゅぅ……じゅぷっ……
 尿道に残ったスペルマを吸い出しつつ、口からこぼれたものを舌で舐めとる。
 亀頭からシャフトへと流れ落ちたスペルマは直接舐めとらずに、唇を押し当
てて粘り気を楽しみながら、それから舌で唇にこびりついたものを舐めとる。

「違うんだ……これは違うんだ、エル……」
「お父さん、違いませんよ。わたしの口のなかに一杯出したんですよ。それで
もまだ出したいってまだおっきいままなんです」

 わたしは父へというより、母に聞こえるように言う。母に似ている、とよく
言われる眼で父を正視して、亀頭を指でさわさわと撫でていた。わたしの唾液
ですっかり綺麗になったペニスは、私の言葉通り手の中で再び硬さを取り戻し
ている。

「さ、もう一回ですよお父さん」

 私の指が窮屈な膣口をかきまわし、父のペニスを受け入れる準備をしていた。
わたしは歓喜の渦に流されないようにするだけで手一杯だった。


2-2〈遠野家地下牢〉

「く……ふぅ……はぁ……ハア……」

 わたしは精一杯の抵抗を続けていました。
 幻想と過去の記憶が妄想とが琥珀さんの手にあるランプの灯火に操られてい
るように、わたしの目の前で現われては意識の薄皮を剥いでいくのでした。
 
 部屋を充たす光はわたしを暖めるかのように和らぎ、わたしに付きまとって
いた影が遠くへ追いやられていくようにさえ思えます。そんな幻想がドラッグ
と琥珀さんの催眠術によるものだと理解していても、わたしの意識にそれは否
応なく流れこんでくるのです。

 わたしから影を奪い取る光は網膜に貼りつき、喉をゆっくりと嗄らし、そう
してわたしを優しく押し潰そうとしているのでした。
 さっきまでわたしを侵蝕していた全身の震えは収まり、しかしそれによって
帯びた熱がわたしの秘部と乳房へと総て集められたかのように、ジンジンと疼
きだしたのでした。
 まだなにもされていないというのに、乳首は硬く膨れあがり、服の布地にこ
すれるだけでも痛みを覚えるのです。
 
 だから琥珀さんがランプを天井に吊るし、わたしの法衣のボタンに手をかけ
たとき、すでに絶頂の寸前まで追いつめられていました。
 ブラジャーが引き千切られるかのように剥ぎ取られると、放り出された乳房
がふるふると揺らされました。熱く火照った乳房が、ひんやりとした床に触れ
るとそれだけで軽くイきそうになってしまったのでした。

 足枷が嵌められているせいで、靴下と靴だけは脱がされず、しかしそれ以外
は下着一枚だけになってしまって、全裸よりもよけい恥ずかしい姿に思えてき
ます。
 手枷は首の枷と鎖で後ろ手に繋げられているため、自然に胸は突き出す格好
になり、背をのけ反らすたびに乳首がふるんと震えてしまいます。

 足枷が鉄の棒で固定され、わたしの躯は股を開いた状態にされました。だら
しなくひくつく膣口が下着を湿らせ、自分でもわかるくらいに下着はぐしょぐ
しょになっています。琥珀さんの責めを今にも待ち構え、それを享受しようと
いう意志は既にわたしを蝕んで乗っ取っていました。

 しかし……

 わたしが期待していたはずの責めはすぐに始められなかったのでした。
 床に転がされ、わきあがる疼きを少しでも抑えようと、お尻を震わせるわた
しを琥珀さんは冷ややかな眼で見つめていました。

 何時間そうやって放置されたのか……我慢していたおしっこが漏れだし、パ
ンツがその用をなさなくなってからようやく琥珀さんの手がわたしへと触れま
した。

「随分いっぱい出しましたねえ……」
 
 琥珀さんはわたしの下着をずらし下ろすと、湯気を立てているぬかるみに指
を沈めてきます。

「筋弛緩剤が効いてるから、締まりが悪いかと思ってたんですけど……意外に
狭いんですね、ここ。」

 ちょこんと指が割れ目へと触れました。軽すぎるタッチは痒みを煽るばかり
で、疼きを鎮めてくれる効果なんてありません。
 
「そんな切なげな目で見られるともっと焦らしたくなるんですよねえ」

 琥珀さんの指が割れ目から滑り落ち、股のほうへとそらされます。わたしは
それまでは快楽に負けても、琥珀さんには屈しないように断じて物欲しげな視
線を送ったりしてはいませんでした。

 しかし琥珀さんのそのたった一言の嘘はわたしの防壁を甘く蕩けさせ、溶か
しさったのでした。いともあっさりと。
 わたしが崩れ落ちた機を琥珀さんは見逃しませんでした。
 指がUターンを描いてアソコへと戻ると、緩やかにしかし苦痛を伴なう愛撫
を始めました。

 割れ目の周囲の襞をまぶすように指と指でこすりあわせ、かと思えば乳房の
中ほどを掴んだ手が腫れあがった膨らみのしこりを握りつぶそうとします。
 力をこめられた乳房はいびつに歪み、乳首が床との摩擦でヒリヒリとするく
らいこすられました。
 乳房を揉みたてていく動きは、中身の詰まっている場所を揺らし続け、根元
が引き千切れそうになります。

 握った手の痣が残るくらいに握りつぶされ、パンパンに張りつめた胸から琥
珀さんの指が離れて一息つくや否や、今度は琥珀さんの平手が胸の先端部へと
飛んできました。

パシ、パシ、パシ……

 単調な音が続きます。これまでの責めで痛みで神経が集中したのに加え、尖
らされた乳首が平手で弾かれて、陰核同等の刺激を帯びてきはじめました。そ
う、まさに今のわたしの躯はクリトリスが三つあるようなものでした。

 パシ…………パシ……

「ふあっ……! やぁ……」

 パシ…………パシッ

「ひぅっ……もう、や……はうっ」

 アソコへは琥珀さんの裸足の指が、それが足の指だと思えないような器用さ
で、割れ目の入り口に侵入しては膣口付近の敏感な部分を責めたてていました。
 乳房とは対照的に柔らかくアソコをほぐし。
 充血している粘膜をくちゅくちゅと卑猥にこすり。
 割れ目と膣口が足の指をきゅうきゅうと締め上げて、恥ずかしいところを閉
じようとするのを、襞の皺を苛めることで遮り、それが成功すると溜まったお
汁を器用にすくいだす。

「シエルさん聞こえます? このぴしゃっぴしゃって音。これシエルさんのオ
マ○コから、かきだしたエッチなお露が床に落ちている音なんですよ」
「う、嘘です。そんなの嘘ですっ。 膝のところにあるパンツから水が滴り落
ちているだけじゃないですかっ」
「それなら証明してみせましょうか?」

 琥珀さんはそう言うと、どこに隠し持っていたのか、鋏でパンツを切ってし
まうと、尿で濡れたそれをわたしの目の前に突きつけました。

「どうです? これを見てもそんなこと言えますか?」

 慄然としてわたしは返す言葉を失いました。
 尿で黄ばみ、湿った下着からは確かに水滴など零れ落ちていなかったのです。
 下着は後ろでに拘束されたわたしの手の中にしまわれ、濡れた下着を手にわ
たしは絶頂へ滑り落ちる傾斜が急になったのを覚えました。

「んぷっ……ンふぅっ! やあ……っ゛!」

 口腔内に溜まった唾液は、粘って白くなっていました。引き結ばれた唇から
たらたらと垂れ流れ、乳房が平手で叩かれるごとに汐吹さながらに飛び散ります。
 ですがわたしの口がだんだん開いてくるにつれ、唾液は喉へとスムーズに流
しこまれていきました。それはもうわたしの限界が近いことでもありました。

「んふぅっ、く……ひあぁっ!!!  もう……あふぁっ!」

 わななく唇から漏れ出すわたしの嬌声が、湿りの色を帯びてきたのを琥珀さ
んは見て取ったのでしょう。
 平手で叩かれて乳暈のなかに沈みかけていた乳首をほじりだし、それをきゅっ
と抓んだかと思うと、乳首の根元を掴み、ローターのような動きでしごいてき
ました。その指の動きの激しかったこと。

「! んん〜ッッッ。やっ……はぅんっ。ひぎぃ゛!」

 琥珀さんはトドメとばかりに二つの乳首ばかりか、足の親指でクリトリスを
押し潰してきました。
 三つの勃起をすり潰され、わたしの背が大きくのけぞりました。
 すると左の乳首は琥珀さんの右手からするりと抜けて、ぷるぷると乳房が揺
れ弾かれました。

「んくっ…ぅぅんッ゛!… ダ、だめ出ちゃ……ハ……。…………〜〜〜〜〜ッッ!」

 限界を迎えたわたしの躯が跳ねあがり、乳首からミルクがぴしゅッと噴きこ
ぼれました。
 赤く腫れあがった乳房へと降り落ちたミルクは、斑点状に白く肌を染めてい
きます。
 
 ミルクが勢いよく出たのは最初だけでしたが、かといってすぐには止まらず
に、乳輪を浸すように漏れだし、乳房の曲線を垂れ落ちました。

「あ……はあ……あんッ…やんっ…」

 間断なくくる絶頂の波は、ミルクがこぼれてくるたびに襲いかかり、わたし
はその度に少女のような喘ぎ声を漏らしていました。
 
 緩んだ割れ目はとろとろと蜜をかきだしていました。蠢く膣壁が、子宮の奥
からも蜜を搾りとり、それを外へと流し出しています。

「……上も下も洪水みたいですよ。そんなに気持ちよかったんですねえ……と
ころでちゃんとわたしの話聞こえてますか? ああ大丈夫みたいですね」

 胸板のうえにお椀状に盛られた乳房は、わたしが息を吐き出すたびに大きく
揺れて、火照った熱を未だ敏感なしこりのなかに留めていました。たぶんこの
後またすぐに責めが始るのでしょうが、このままでは乳房への刺激だけで狂い
かねません……。

「……一ついいこと教えてあげますね。シエルさんのクリトリス、まだ皮剥け
てないんですよねえ」
「っ! やあ……そんな……」
「フフ、これ剥いてみたら、今よりも気持ちよくなっちゃうと思いますよ〜。
次こそ狂っちゃうかも。それにシエルさんは処女じゃないようですし、今度は
もっとなかの、ずっと奥まで刺激するつもりです。そうそう、お尻の穴という
のもなかなか気持ちよくなれるんですよ?」

 琥珀さんの舌がぺろりと唇を薄く舐めました。そう、考えてみれば琥珀さん
はまだ指しか使っていないのでした……。このうえ舌や張り型で刺激されたら……
ああ……。

「さあ、皮をむきむきしましょうね〜」
 死刑宣告にも似た響きを持った言葉はわたしの意志などお構いなしに投げら
れ、そして行動はそれにすぐに追随してきました。
 まだ絶頂の波が収まらぬなかで、淫裂からはみ出ていた襞が、刺激の余波で
窄まった割れ目のなかに、しまいこまれていくのが次の合図でした……。

                                      《つづく》