「……翡翠ちゃん、入って良いわよー」」
志貴は息を飲んだ。琥珀の声はまるで魔法のように響き、扉がかちゃり、と
いう音を立てて開いたかと思うと、そのわずかな明かりの中から翡翠の姿が現
れる。メイド服をきっちりと着込み、いつもと変わらない翡翠――
いや、ランプの光に照らされる翡翠の顔はいつもと違った。毎朝見る、凛と
した仕事の顔をしている翡翠ではなく、まるで学校で先生に怒られる子供のよ
うな、身の置き所のないもじもじとした所作。顔も紅くなっており、震える口
の吐く息も浅く短い。
「ひ、翡翠……これは……」
つい翡翠に見入っていた志貴であったが、今の自分の様子をすぐに思い返し
て弁明しようとする。深夜の二時に琥珀と一緒にいて、おまけに琥珀の指は志
貴の男性自身を握りしめているのだから、この光景をどう弁明したらいいもの
か?
志貴の頭は必死に男性として体面の保てる言い訳を探すが、その様子を察し
た琥珀は左手の人差し指を志貴の唇に押し当て、言葉を封じる。
「志貴さま、今はお楽しみの刻です。翡翠ちゃんだってその為に来たんですよ……
言い訳なんて見苦しい真似は、遠野の方として相応しくありませんねー。
今は、夜の遅くに女性が殿方の寝室を訪ねているんです、全ての情欲に任せ
て動けばいいのです……そうそう、志貴さま、これをどうぞ。」
やっとの事で志貴の股間から指を離した琥珀が、和服の袂の中から細長いプ
ラスチックの固まりを取り出す。それを手渡された志貴は、それをしげしげと
眺める。
それはプラスチックのリモコンに見えた。中に電池か何かが入っていると見
えて、重量は思ったよりある。ただ、テレビやビデオのリモコンに付き物のボ
タンの類はなく、スライド式のフェーダーが一つ無愛想にくっついているだけ
であった。
「これは?」
「ふふ、夜のお楽しみのオモチャですー。はい、志貴さん、どーぞ」
そう言って琥珀はその細い指を志貴の指に絡ませ、志貴の指をフェーダーの
コントローラーに当てる。そして、それをまるでじらすかのようにじりじりと
押し上げて行く。
あ、姉さん――そんな細い翡翠の声が聞こえたような気が、した。
「あっ、あっ、あああーーーーっ」
だが、その声はすぐに翡翠の声でかき消される。悲鳴のようだが、恐慌の感
情の全くない不思議な声。その声が何であるのかを、志貴はすぐに悟る。嬌声
だ――あのお堅い翡翠が、目の前でこんなあえぎ声をあげるだなんて。
志貴の目は内股になって足の付け根に手を押し当てぶるぶる震える翡翠と、
琥珀の指がからみついた自分の手の中のリモコンを交互に見つめる。琥珀の指
がくいくい、と動いて志貴の指のフェーダーを動かすと、それに従って翡翠の
声が小さくなり、荒い息が聞こえるかと思うと、今度は唇をかみしめた翡翠の
甘いうめき声があがる。
これはリモコンであった――翡翠の快感と苦痛を操作する。そんなことを志
貴はぼんやりと考えるが、その間にも指は勝手にリモコンから翡翠の快感を絞
り出そうとして、そのたびに翡翠の身体がびくんびくん、と震える。
まるで玩具に戯れる子供のような志貴に、琥珀は妖しく語りかける。
「あは、志貴さま、もうお分かりになられましたねー?
これ、翡翠ちゃんの中に埋めたオモチャのリモコンなんです。でも、志貴さ
ま……翡翠ちゃんのどこにオモチャが入っていると思います?」
いつの間にか、琥珀は志貴の後ろに回り込み、後ろから抱きしめるようにし
て志貴の耳に囁きかける。琥珀の暖かい息が耳に掛かり、官能はとろけ、すで
に言葉を紡ぎ出すこともままならない。
一体自分はどうなっているんだ――そんなことを考えるのも億劫だった。た
だ、どくりどくりと脈打つ恥骨の上の渦巻く蛇のような力が、志貴の身体をぐ
らぐらとスープ鍋の様に煮詰める。目の前の翡翠は、紅潮した顔で泣きそうに
なりながら、志貴と翡翠の様子を見ているのが分かる。
なぜ――志貴の僅かな理性の中で、琥珀の薬包の姿が過ぎった。でも、それ
以上は何も考えられない。
「あれ?志貴さま?お分かりになられませんか?
それじゃ……うふふ、ちょっと翡翠ちゃんに恥ずかしい思いをさせちゃいま
すね。でも、お答えにならない志貴さまが悪いんですよー」
志貴の中では琥珀の言葉は意味を為さない。ただ、熱い息だけが耳を打つ。
「じゃぁ翡翠ちゃん、志貴さまにスカートを持ち上げてお見せして」
「そ、そんな……姉さん、恥ずかしい……」
「翡翠ちゃん、ここまで来たら、もう恥ずかしいとかいいっこなし。じゃぁ、
私が持ち上げてあげる?」
琥珀の小悪魔的で悪戯な声の前に、志貴のみなならず翡翠も翻弄される。琥
珀の言葉を耳にした翡翠は恥ずかしそうに俯くと、のろのろと屈んで長いメイ
ド服のスカートを手にして、それをゆっくりと持ち上げていく。
志貴の、琥珀の目の前で翡翠のスカートの中に隠された、白くて細く、肉付
きの浅い脚が現れてくる。脛、膝、太股――そして、右の太股には一つだけガー
ターが巻かれ、その内側に何かが挟まっている。だが、そんなことを気にする
間にも翡翠のスカートの裾は持ち上がってゆき、とうとう翡翠の手は胸元まで
スカートの裾を持ち上げてしまった。
そこにあったのは、少女の秘所であった。柔らかな毛が僅かに生え、琥珀の
女性らしい曲線の女性を彩っている。膨らみはまだま成熟の途中であり、それ
故に翡翠の中の部分がこの僅かなサイドランプの光の中でも見えてしまうよう
な気がする。
それに、内太股には何かが、液体のようなものの伝う艶じみた光も見える。
「ひ、翡……翠……」
志貴の目の前であられもなく自分の女性の部分を晒す翡翠は、恥ずかしさの
あまりぶるぶると震えている。スカートの裏地の前に浮かび上がる膝はかすか
に揺れている様にも見える。しかし、志貴の目は忙しなくそんな翡翠の顔を、
震える腕を、真っ白な脚を、そして若草の生える丘を走り、それを――見つけだした。
翡翠の股の間から、伸びる一本のコード。それは翡翠の太股のガーターに挟
まれた、志貴の手にあるのと似通ったプラスチックの箱に繋がっている。
試しに志貴の指がリモコンのフェーダーを押し上げる。
「うんっ、あっ、あああーーーーっ」
翡翠のあえぎ声が漏れる。それと同時に、スカートの中に垂らされたコード
が揺れ、その揺れに従うかのように、翡翠の何も履いていない腰が艶めかしげ
に動く。
「そうです、翡翠ちゃんの中にはいっているんですね、志貴さま。でも、ちょっ
とこの恰好だとどっちに入っているのかよく見えませんね?
志貴さま、どっちに入っていると思います?翡翠ちゃんの女の子の中ですか?
それとも……後ろの方だと思います?」
相変わらず志貴の答えはない。それを次の行動の指針だと受け取った琥珀は、
また翡翠に次の行動を促す。
「じゃ、翡翠ちゃん。次は後ろ向きになって、お尻を広げてね」
「……そんな……わかりました、姉さん……志貴さまがお望みなら……」
翡翠はそう呟くと、スカートの裾を落としてのろのろと後ろを向き、今度は
後ろの方のスカートを持ち上げていく。翡翠はスカートの裾を持ち上げ、エプ
ロンの腰の結び目に巻き込むと、ゆっくりと後ろを振り返り、琥珀が頷くのを
目にする。
翡翠の脚が、肩幅ぐらいに広がっていく。脚が少しずつ広がっていくと、翡
翠の恥ずかしい部分が露わになっていく。大陰唇の発達がまだ途上の翡翠は、
こうやって足を開いていくとそれに従って、恥ずかしい部分が露わになってし
まう。
前の方に恥毛に彩られた翡翠の陰部は、こうやって後ろから見ると如何にも
無防備であった。まだ複雑な形に発達していない翡翠の性器の形が、志貴の前
で露わになっていく。慎ましく可愛らしい、翡翠の女性自身の唇。
それは、あたかも虫を誘う花の花弁のようでもあった。ぬらりと陰液に濡れ
る蜜の中の花。それに襲いかかり、口づけし、舐め、しゃぶり、貪り尽くした
い――志貴の中の衝動はうめき声を上げる。
深く翡翠が息を吐いたかと思うと、僅かに背中を反らせるようにして前屈み
になる。そして、両手を後ろに回し、自分の汚れ一つないお尻の膨らみに当て
る。そして、まるで消え入るかのように細く翡翠の声がする。
「……志貴さま……どうか、翡翠の……恥ずかしいところをご覧になって下さい」
そう言うと、翡翠の両手はお尻の肉を割り、まるで芳醇な果実を割って蜜に
あふれる実をむき出すように、翡翠の中を露わにする。
志貴は、それを見た。広げられたお尻の肉に従って広げられた翡翠の女性の
花弁はひくひくと動き、閉じ合わされていた二つの陰唇は広げられ、中の実の
様な膨らみと僅かなくぼみも露わになってしまう。それに、二つに割られたお
尻の中心には、これも慎ましやかな翡翠の後ろの蕾がある。
だが、そこから――コードが伸びている。もちろんそのコードは太股のボッ
クスに向かって伸びていた。
「志貴さま。翡翠ちゃんは後ろの方で感じちゃう、恥ずかしい娘なんですよー
私がちょっと教えて上げたんですけども、翡翠ちゃんったらもう……それに、
ほら、こうやって、志貴さまの指によっても後ろで感じちゃってるんです」
「姉さん……おねがい、そんなこと……」
志貴に背を向けている恰好の翡翠の顔は見えないが、多分真っ赤になってい
ることは間違いなさそうだった。それは琥珀の言葉によって恥ずかしがってい
るのか、あるいは自分でお尻を割って中の恥ずかしい部分を見せているという
行動によるものなのかは区別は付かないが、その両方、というのはありそうな
話である。
お尻の肉を鷲掴みにする翡翠の指は、ぷるぷると震えている。太股の内側を
伝う愛液がつつつ、と滑り落ちると、翡翠の口からはぁぁ、と短い息が吐き出
される。
全てが艶めかしい。後ろから抱きつかれた琥珀の体温を背中に感じながら志
貴は、琥珀の体温だけではなく目の前の、あられもない恰好の翡翠の体温も貪
りたくなる。そう、ここまで翡翠に恥ずかしい思いをさせておいて、恥を掻か
せる訳にはいかない――朦朧となる一歩手前の志貴は、そう判断する。
志貴の身体が、ぐらりと持ち上がる。その動きを察して、抱きついていた琥
珀が手を離す。
「あら、志貴さま、どうなさいました?」
「翡翠……」
それは志貴の声というより、無意識下の呻き声に近かった。まだお尻を向け
たままの姿勢でいた翡翠は、ベッドからよろよろと立ち上がり、自分の方に向
けて歩いてくる志貴の姿を肩越しに認める。
だが、この恰好を止めることは出来なかった。自分の恥ずかしい花弁と蕾を
志貴にむかって晒したまま、翡翠は待ち続けた。志貴さまはどうするんだろう
か――僅かにそんなことを考えた翡翠だったが、すぐに襲いかかる快楽にそん
な考えは揉み潰されてしまう。
「志貴さ……んーーっ、ああっ、んーーーーっ!」
翡翠は、その感覚に背筋がそそけ立つような感じを覚える。それは、お尻の
穴から背筋を肩胛骨の上まで、駆け上がってくる。翡翠の身体はバランスを崩
して前に倒れそうになるが、それは出来なかった。
翡翠の後ろに立った志貴は、翡翠のお尻から生えるコードを指に巻き付け、
ゆっくりとそれを引っぱったのだった。蕾のような肛門がく、と膨れるように
持ち上がり、コードをがじりじりと引っぱられるたびに、蕾が少しづつほころ
んでピンク色の卵状の物体が顔を見せる。
「ああっ、ん、ああーーっ」
「あらあら、翡翠ちゃん、力んじゃだめですよー。力を抜かないと痛いからー」
志貴の指の動きに従って、翡翠のお尻の穴からピンク色の丸い振動体が産み
出される。スキンを被せられたそれは、ぬぽん、と言う音を立てて翡翠の肛門
から抜き出され、その間にも僅かな振動でぶるぶると震えていた。
振動体をお尻の中から産み出した翡翠は、はーはーと荒い息を吐いている。
異物を肛門から排泄する感覚は快感として翡翠の官能を支配し、自分がその様
子を見やすいように、志貴の前で広げて見せていることも一瞬忘れさせる。
はぁー、はー、はぁー、はー。
二つの荒い息が時計の時を刻む規則正しい音に混じって響く。一つは志貴の、
一つは翡翠の息。二人の息は交互に、時に入り交じる。
志貴の指が、コードにぶら下がったピンクの振動体を床に投げ捨てる。それ
に引っぱられてガーターに差し込まれたボックスが抜け、絨毯の上に当たって
すとん、と落ちる。志貴は、そのまま指を、むき出しにされ濡れそぼる花弁と、
呼吸に従ってひくひく震える蕾に近づけていく。
「翡翠……ッ!」
「ああっ、志貴さまっ、志貴さまぁぁぁ!」
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