はじめまして。もとはるです。
 スキマ産業的、一口サイズのSS詰め合わせをお届けします。
 濃ゆい諸作品の箸休めに、お気軽にどうぞ。


 『見た目はみりんといっしょです』
志貴「わぁぁっ!台所で、な…何やってるんだ、翡翠」
翡翠「す、すいません、志貴さま。お鍋に入れる順番、間違えましたか?
   ええっと、さしすせ…」
(スカートをたくし上げお鍋の上に屈みこむ翡翠の姿にドギマギしながら)
志貴「…はぃぃ?『お料理のさしすせそ』の『し〜』って『塩』のことだよ、『塩』っ」
翡翠「志貴さま、すいません。手遅れ…です」
(雨漏りをお鍋で受けたらかくや、という音がひとしきり)
翡翠「てっきり隠し味だと…。お料理は奥が深いなあって…。
   じゃあ、『せ』も本当は『醤油』なんですね。
  『そ』も『そそう』ではなく…」
志貴「あぁぁ…どこをどうしたらそんなデタラメを」
琥珀「あらー。翡翠ちゃん、さっきの冗談真に受けちゃったんですか?
   もったいないから、そのまま煮込んじゃいましょうか。
   良い『出し汁』で『コク』が出ますよー」


 『いわゆる雅語的表現です』
志貴「秋葉、生徒会の役員だからって、後輩を相手に威張り散らしたりしてないよな」
秋葉「…っ!いいがかりです。なんてことを言うんですか、兄さん。
   人前で『いばり』を散らすなんて…そんな、はしたない事…兄さん以外には…」
志貴「え?ちょっ、秋葉、、、どうしたんだ?いきなりスカートを…うわぁ!」


 『ワインとパンのみで生きるにあらず』
アルク「志貴や妹にはいつも迷惑かけてるから。はいっ。
    この国じゃ『マドンナ』じゃなくて、ええと…『お歳暮』って言うんだっけ?」
志貴「季節、完全に外れてるんだけど。あ、ありがと、アルクェイド。
   どれどれ。へぇ、お酒?」
秋葉「白ワイン?でも、見たことのないラベルですね」
アルク「へへぇ。滅多に手に入らない、好事家垂涎の特別製っていうやつだよ。
    まあ、論より証拠っ」
 シュカァッッッ(おもむろに手刀) コン トク、トク、トク
志貴「す…すごい!なんて言ったらいいのか。こんなの初めてだよ」
秋葉「アカシアの花から採った蜂蜜を思わせる濃密な色合い。
   退廃の一歩手前で踏み止まった馥郁とした香り。
   柑橘系の酸味と響きあう典雅なまろやかさ。
   ソーテルヌの遅摘み?シャトー・ラジョンシュの貴腐?
   いいえ、これは…まるで」
アルク「そう、まるでワインみたいでしょー?」
志貴「まるで…?」
秋葉「みたい…?」
アルク「うん。コレは、ボルドーにある由緒正しい修道院の尼僧が復活祭の日朝一番に…」
志貴「うわぁー、わー。聞きたくない、聞きたく…」
琥珀「おやー、なんだか賑やかですねー。
   あ、秋葉さま、蒼い顔でどちらへ?
   ん。志貴さん!未成年者がお酒なんか飲んだら、めーですよ。
   …って、あはー? それなら平気ですねぇ」


 『先輩は飛び級ですから』
シエル「不思議です。いろいろ探しても、どうして私だけ『にょ』にまつわるお話があんまり無いんでしょう?」
アルク「それはシエルの場合、『間諜』とか『粉飾』とか、一足飛びに『カレーネタ』に行っちゃうからだよ」
シエル「しぃぃっ。ちっちの臭い猫は消えちゃってください」


 早乙女の花を摘みつつ罪つくり 罪に蜜満つひとつ積んでは
                             
                                 「了」