「よぉ遠野!!ウチの姉貴のトイレを盗撮してきたぜ!!」

と言う有彦を刀殺(とうさつ)した。



盗撮! 隣のお姉さん

                     40%の60L



 「はあ、それでそれを観るために茶道室に来たわけですか?」

と、シエル先輩は二枚目のハンバーグに箸を付けながら、呆れ顔で呟いた。

普通、弁当箱にハンバーグが丸々一枚入っているだけでも

既成概念を脱しているのに、

それが二枚ともなるとメジャーのレベルを感じずにはいられなかった。

 そんなシエル先輩と俺の前には

いそいそテレビやヴィデオを設置している有彦、

 「まあ、俺の家や有彦ん家じゃ流石に観るのははばかれますからね。」

俺は苦笑して答えた。

 まず俺の部屋などテレビがないんだからヴィデオなんてあるわけない、

あってどうするという話である。

さらに有彦の家、有彦の自宅というコトは同時にお姉さんの一子さんの自宅

でもあるというわけで、

そんな本人の出没しかねん場所でのトイレシーンを観賞しようなど

火薬庫で花火をするような真似もしたくなかった。

しかもあのお姉さんのことだ、もし見つかったら

「悪戯もほどほどにしとけよ。」とあっさり済まされそうでそれもまた

逆に怖い。

 そんなわけで、こんな単純所持も危うい違法ビデヲを観賞するには、

学生である俺たちにとって自分らの部屋以外で数少ない

プライベートを確保できる場所、

茶道室となったわけだ。

 ・・・・・・・・・・いや、

なんでそこまでして観たいのかと言うとイマイチ把握しきれない

部分もあるんだが、

 第一、一子さんだぜ?

友人のお姉さんで、いつもキビキビサバサバしてて、ふとすると女性である

ことを忘れてしまいそうな一子さん。

『おう有間か、よく来たな』なんて初めて訪れた時にも、

隔絶ない親しさでもてなしてくれて、俺のように変に悟りきった小僧でも

屈託なく尊敬できる数少ない人が、あの人だった。

 その人の、なんというか人に見せてないつもりのご不浄を盗み見るなんて、

そら彼女ともアレな関係がないわけではないが。(!!?)

やっぱり合意でするのと

本人の知らないうちにその生活を侵害するのは違うと思う。

こんな行為、卑怯で、下劣で、猥褻な、自分を貶める行動であることに

なんの疑いもないではないか、

 なのになんで俺はこうも引き寄せられるブラウン管に、

磁石と磁石が自然に引き合うように

私するするヴィデオデッキに引き寄せられてるんだ!!?

 「エルはなんのっエル〜♪ですね?」

 「人のナレーションに合いの手を入れんでくださいっ!!」

もはや若い人が付いていけないネタをふるシエル先輩に突っ込む、

はっ、

そうだ、ここにはシエル先輩もいたんだ。

この部屋の本来の主であるシエル先輩になんの断りもなくこんな猥褻なものの

鑑賞会を開こうなどなんで今まで気付かなかったんだ俺は?

やっぱりだめだ、今からでも悔い改めたほうがいい、

シエル先輩だって俺たちのことを汚物を見るような目で、

 「・・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見てない?

 「あの、先輩いいんですか?

先輩の目の届くような場所でこんなものの鑑賞会を開いて、」

 恐る恐る聞いてみた。

 「ええ、まあ私だって世の中の仕組みは判っているつもりですから

遠野君ぐらいの男の子がこういうのに興味を惹かれてしまうのは

しょうがないって思ってます。

 それにホラ、有彦君のお姉さんてとても綺麗じゃないですか、

そんな人がトイレでなにをやってるかなんて

男の子じゃなくても興味が湧くというか・・・。

あ、有彦君、接続はちゃんと端子の色に合わせて繋げないとダメですよ。」

 「おっと失敗失敗、

で、赤と青のどちらを斬れば爆発するのでしょう?」

 「AV端子に青はないです。」

そうやって有彦と漫才をしつつ、顔を赤らめながら先輩は「てへ」と苦笑いした。

ああ、そういやこの人も変な人だった、

一応照れつつも、セット完了したビデヲデッキの前に待機する先輩の顔は

興味津々で、この状況を促進することはあっても抑止することは

既に期待できそうになかった。

 「おう、なにやってんだ遠野!もう始まるぜ!!」

 「しかし、やっぱり御飯時に見るものじゃないのは確かですねえ(モグモグ)」

 もはやここまでか、

俺は覚悟を決めると心の中で『一子さんゴメンナサイ』と呟いて、

せめてもの抵抗と、二人の間に割り込むように座った。

 有彦がリモコンの電源に手をかける、

するとビデオデッキから「ウィィン・・・」という起動音と、

続いて「グゴ、グゴオオォオォォオ、グォ」なんて内部で何かが動きまわる音、

そして最初に画面には一面青が映り、続いて黒へと暗転、

画質が悪いのだろう、画面に広がる暗黒の海にはかすかな砂嵐が

パチリパチリと蠢動し、それが否が応にも俺の期待感をことさらに刺激する、

そうそれは正に、上映の一瞬前、映画館の明かりが一気に落とされた中で

襲いくる一瞬の昂揚感そのものだった。

 やっと始まった、そこは確かに見覚えのある乾家の手洗いだった、

隠しカメラは給水タンクの底にでも貼り付けてあるのだろう、

上が少し影に覆われながら画面はタイルの壁と、大部分を木製のドアに

狙いを絞っていた。

 ドアが開け放たれ、役者が舞台に上がる、

隣で聞こえるシエル先輩のゴクリと喉を鳴らす音、

この視点からは給水タンクの陰で下半身しか見えないが、そこを見ることが

このメディアの第一の目的なのだから充分許容範囲だ、

むしろヘタなAVの如くモザイクといった興醒めが割り込んでない以上、

その興奮度は顔が見れないデメリットなど補って余りあった。

 一子さんは奥ゆかしくも一度水を流し、おもむろにジーンズのファスナーに

手を掛けて、中からポロリと大事なものが顔を出す。

節くれ立った指がそれを卵を掴むような優しさで抓むと、

彼は直立不動のままに畏怖堂々と洋式便器の向けて一筋の水流を――



 「こら立ちションじゃねーかー!!!!」



 隣に座る有彦めがけて渾身の肘撃ちを喰らわせた、

手首を胸にくっ付けて、腰の回転を最大限にまで乗せたエルボーは

期待以上の威力で有彦を茶室壁際まで吹っ飛ばすことに成功した。

 「ぐほっ、ナイスエルボーだ遠野、

コレならばK-1のリングに上ってもきっと・・・・。」

 「うるさいK-1じゃ肘撃ちは反則ルールなんだよ!!

なんだお前!一子さんが立ちションなんてするかよ!!!

ならここに出てきた御目汚しは消去法的にお前しかいないじゃないかよ!

25行まで渡って盛り上げてきたのはお前の放尿シーンかよ!!

 誰もこんなオチなんて期待してないよ!!!詐欺だよ!

歌舞伎町のポン引きに付いてったらゲイバーに放り込まれた気分だよ!!」

 「・・・・・・・・・・御代はビール二杯で3万5千円に・・・。」

 「ぼったくりバーを意欲的に再現せんでいい!!!」

もう言いたいことが多すぎて文章に統制が取れてなかった。

 「まあそう熱り立つな、長い一日いつ姉貴がトイレに入るか判るわけないん

だから四六時中カメラを回してるのは当然だろう?

焦らなくてもこのテープにはちゃんと姉貴の失禁シーンが収まってるって。」

 そういって有彦は早送りのボタンを押した、

その手際よさに、もしかしたらこの醜態は最初から仕組まれていたのでは、

露出狂?と勘繰りたくなるほどだった。

 見苦しいものが三倍速で去っていく、

これから一子さんの登場まで停車駅なしの中央特快だろう。

 俺はその間にシエル先輩の様子を気遣うことにした。

あんな小汚いものをモザイクなしで直に見せられたのだ、

いくら大抵のことに動じないシエル先輩でも範疇を超えるというものはある。

予想通り、先輩はポワッと火照った頬を両手で覆いながら、

放心したように何もない所に目を向けていた。

 彼女のこんな反応も、俺にはちょっと新鮮だったり、

 「先輩ー、大丈夫かー?」

手の平を彼女の眼前でヒラヒラする。

 「・・・・・・・・遠野君・・・・・・。」

呆けるように俺に言った、

その言葉は次の段階からいきなりボリュームを急落し、もごもごと口篭る、

何度聞いても要領を得ないので彼女の口元に耳を寄せると

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・遠野君の・・・。」

 「・・・・・・・・・ん?」

 「・・・・・遠野君のってやっぱり平均以上だったんですね・・・。」

 冷や水をかけられたような感覚に襲われて、シエル先輩から飛び退く、

 そして有彦も画面のチェックに集中して呟きは届いていないようだった、

よかった、アレがもしあやつの耳に入っていたら俺たちの友情はその時点で

終止符を打たれていたかもしれない。

 人知れず去っていった関係崩壊の危機、

決して報われることがないほどに、友情は人知れず機能する。

 「おおい遠野、シエル先輩、頭出しが終わったぜ?」

哀れな有彦の声が俺たちを呼ぶ、

俺も先輩も少々バツの悪そうな顔をしつつ、今一度テレビの前に集合した。

 「今度は大丈夫なんだろうな・・・・・・・・・・・・?」

 「あたぼーよ、ほれ、画面にはちゃんと姉貴が映ってるだろ?」

と促すが面を見てみれば、確かにガランドウだったトイレにはさっきと同じよう

にジーンズに包まれた下半身が一つ、

しかし先程の長方形ばった股関節に対し、今の楕円系を横に倒したような

すべらかなお尻は、どう見紛えようと男と女を分けて然るべきものだった。

間違えない、これは一子さんのお尻だ。

一度その中身までじっくり見定めた俺が言うんだから間違いない、

 「・・・・遠野君、今何か考えました?」

鋭く切り込む先輩の追及に息が詰まった。

 再生が始まると、一子さんはクルリとカメラ、つまり便座に背を向けて

エンドウの皮を剥くようにジーンズとショーツをペロンと降ろし、

そしてエンドウ豆に負けないくらい丸くてスベスベしたお尻を現した。

そんないきなり!

とも彼女の行動に狼狽するが、この状況を考えればそんなもんいきなりでも

なんでもない、

一子さんはこれからご不浄をするんだから下を降ろすのは当り前で、

上を脱いだらそれこそおかしいじゃないか。

 こんなよく判らない思考を取り留めなくめぐらせながら、やはり自分が混乱

していることを悟る俺であった。

 「はあ、お姉さんのお尻白くてとっても綺麗ですねえ・・・」

シエル先輩が嘆息を洩らして言う。

 「シエル先輩のお尻だって綺麗だよ。」

と俺は躊躇なくフォローを入れてしまった、頭で考える以前の行動だった。

 「でも男の人って小尻の方が可愛くていいって言うじゃないですか、

私って結構大きな方ですし、この人みたいに引き締まったお尻は憧れです。」

 「そうかな?俺は先輩みたいな安産型は好きだけど、

それに先輩の後ろは綺麗なだけじゃなくて『名器』だし・・・・・・・・・。」

 遠野君!!と照れる先輩に笑う俺と、その外側で反吐を出す有彦、

 しかし画面のなかの一子さんはそんな俺の葛藤など露知らず

(プライバシーが侵害されるのも露知らず)

便座に腰掛けて鼻歌を口ずさんでいた、鼻歌?音まで入ってるのかこれ、

 「うぃ、天井裏に仕掛けた集音マイクがネズミの足音

洩らさずキャッチするぜ!!」

 犯罪者は誇らしげに語った。

・・・・・・・・だがちょっとまて、ということは?



 チチ・・・チチョロチョロチョロチョロ・・・・・・・・・・・・



 俺が制止を叫ぶより速く、その演奏は始まってしまった。

陶器のセラミック質に弾かれて澄んだ音を鳴らす一子さんの小水、

画面には便座に腰掛けた彼女の背中しか映っていないため、

封じられた視覚の意識がそれならばと鼓膜の方に一点集中し、

いつもの数倍近く能力を飛躍させた聴覚の情報で

ありありと、その場の光景を構築かさせていく。

 ずり下げたジーンズがゴワゴワずれるのはポケットから煙草を取り出す音、

重い摩擦音、ライターのホイールを回して火をつけて、

フウと煙を吐き出した。

 その下では依然、陰毛に絡み付いているのだろう水滴がヒタリヒタリと

便器に落ちて、いやらしい甘美な音を立てている。

たかだか水滴の反射音にもかかわらず

実際見る以上に克明に甘美な状況が手に取るように伝わった。

 っていかん、妄想が出来上がり過ぎている、

音だけでここまでの情景が作り出せてしまうあたり官能小説化か俺は、

こんなコトばっかりしてたら妄想ばっかり先行して

妄念を過剰に掻き立てられることとなるんだ。

 コンチクショウ、有彦も罪なカメラセッティングをしやがるな、

最初から大事な部分が見えてれば、ここまでのた打ち回るような状況には

ならなかったんだ、

自慢じゃないがこちとら高校二年生、

見えない物への執着は半端なものじゃ――――――、



 ガチャ、



 などと思っていたら、シェンロンが僕の願いを聞き届けてくれたかのごとく、

アングルが切り替わって一子さんの白い太腿アーンド秘部が現れた。

 2カメさんどうぞーと言うぐらいの手際よさだった。

プロデューサー、視聴者のニーズに応えすぎ、

 暗所で少々視界の悪くなった股間は、それでも画像が鮮明なために形状を

はっきりと見定められ、

小水を被って毛がじんわり湿気っている辺りは

俺を沸かせるに充分足るものだった。

 だがちょっと待て、たしか便座の前方には木製のドアしかなかった筈だ、

そんな所にどうやって隠しカメラなぞ―――――

 『・・・・・・何しにきた?』

 『いやー今月ピンチでさ、小遣い稼ぎに協力してくれない?』



 「このトンチキ姉弟が――――――――!!!!!!」



 俺、ついに切れる、

じゃあなにか!?さっきの『ガチャ』とかいうSEはハンディカメラ片手に弟が、

姉陣取る手洗いに乗り込んだ音だというのか!!?

それで、一つヒット作を世に送り出すために貴女のオシッコを

撮影させてくださいと!!?

ふざけんな!そんなもんもう盗撮でも何でもねえぇー!!!

 「大丈夫、編集後はこの辺カットして盗撮の臨場感は損うことなく・・・」

 「そんなマニアめいたイチャモンを付けとるわけじゃねえー!!!」

 有彦の襟首を掴んで締める俺、

俺は道徳的観念に於いてモノを言ってるつもりだった。

 もはやこの映像は犯罪云々だけでなく、プライバシーの尊守とか

消費者に対する購買倫理とか、ビデ論とか十把く一からげにして逸脱して

もーとにかくダメダメだ、

こんなのを市場に上げるなど人として許すことはできない!!

 「シエル先輩もそう思うでしょう!?

先輩からもなんか言ってやってください!!!」

 「遠野君煩いです、ちょっと黙っててください。」

先輩は固唾を飲んでいた。

 「先輩〜・・・・・。」

 俺は襟を絞められて落ちた有彦をその辺に放り投げて、

情けない声を上げる。

彼女は形式に弱いほうだからこういうテーマをしっかり決めた仕掛けには

飲まれやすいのかもしれない。

感動系AVGとか、純情系鬼畜ゲームとか、

 先輩っていつもは澄ましてるけど一度のめり込んだら誰も止められないって

そんな雰囲気してるからなあ。

 「もう、集中してください遠野君、今急展開なんですから。」

 急展開?

精魂傾ける先輩に咎められて、ご無沙汰してましたと視線をディスプレイに

戻すととんでもないものが網膜に飛び込んできた。

 有彦直営のハンディカメラに、視界一杯に迫らんとしている淫靡な後姿、

一子さんが便座に手を付いて、誘うようにお尻をフルフルと振っていた。

 『ただ小便を映してるだけじゃ売れ行きも悪いだろ、

ハメ撮りでもやった方が売れるんじゃない?』

 またとんでもないことを言う、

やらせてやるよという割には震えていて「して」とでも言ってるような

声色の一子さん。

 『だから俺にハメろって?やだよ、そんな小便まみれのま○こなんて、

入れて欲しいならせめて拭いてからにしろ。』

 有彦がレンズをギリギリまで陰部に近付けて、

使い込まれていそうなビラビラやクリトリスがモザイクもなしに

鮮明に浮かび上がる。

でも、レンズでも手でも触れようとはしない、

一子さんの挙動を察してか察せずか、焦らしているつもりでいるのか、

いつものがっつく有彦とは一番掛け離れた行為だ。

 『いいだろ、どっちにしろ入れるときは濡れるんだから、

徹夜明けはムラムラするのってお前も判ってるだろ?

 お前だってホントはハメる積もりで乱入してきたくせに。』

 『なーらーさー、やるならやるでそれなりの迎える準備ってのをしろよ、

俺様のチ○ポを迎え入れるのにズボン降ろしただけなんて

そんな横着な格好で許されると思ってるのか?』

 『そんなコト言ったって、お前がいきなり・・・・』

 『口答えするな

この足だって、足元にジーンズとパンティが引っ掛ってるから

可愛いぐらいにしか開いてないけど、

本当なら開脚ができるぐらいまでおっ拡げて俺を誘いたいんだろ?

 無理しないでいいんだぜ?俺はアンタが心ゆくまで楽しむために勧めて

やってるんだから、素直に全部脱いじまえって、』

 有彦がいやらしくいうと、

一子さんは少しだけ意を決する時間をとると、ボタンに手を掛けだした。

行動に移るともはや迷いは全くない、

まるで何かに追い立てられるように、一刻も早くというように大急ぎで

衣服を脱ぎ捨て、

赤いシャツもジーンズもブラもショーツも、汚らしいトイレの床に

脱ぎ捨てていく、

 ・・・・・・・・・おいおいおいおいおいおいおい、

なんか完全に趣旨が違ってきてない?

盗撮モノだったはずのロードショーはいつの間にか調教モノに

バトンタッチして、

展開されるのは(S)有彦×(M)一子さんという

全くもって可能性の隅にもありえない下克上、

それだけでそっち系のファンが泣くか大喜びしそうだ。

 つーかなに、ドッキリ、夢オチ?

どっちにしろこんなしおらしい一子さんいないって、

解説を求めようにも、現実世界の有彦はさっき襟締めで落ちたまま

まだ復活には遠い。

頚動脈ついでに気管まで絞めていたのが悪かったか、(普通死にます)

 そんなこんなしていくうちに一子さんは生まれたままの姿になって、

再び便座に手を付いて四つん這いにさせられる。

トレードマークのポニーテールまで有彦に剥ぎ取られ、

振り乱れた御髪は

毛先が黄ばみのこびり付いた便器の底に浸るか浸らないか、

かなりの嫌悪感が表情に浮かび上がっているが、それに朱が混じってるのは

もう見ないことにした、見てはいけない気がしたから

 「・・・・うわっ。」

 シエル先輩の歓声にも似た驚嘆の声があがった。

アングルが再び給水タンクの底についた隠しカメラに切り替わり、

一子さんのドアップが浮かび上がったのだ。

羞恥と屈辱と昂揚と歓喜がごちゃ混ぜになった表情、

 無論、画面狭しと咲き誇る肢体はそれだけでなく、

ザンバラに振り乱れた赤い髪、その向こうでフリフリ揺れる白いお尻、

さらにその向こうで悠然と立つ有彦の胴体のみが給水タンクと一子さんの

お尻に挟まれて見えた。

 あ、イヤ待て、奴の手が一子さんの頭にある、なにする気だアイツ。

 「・・・・遠野君、見逃したんですか?」

隣で手に汗握る先輩が、ひきつったような声で尋ねた。

 「見逃したって、何が?」

 「有彦君押し付けたんですよ、彼女の頭を、便器に。」

 「はいぃ!!?」

俺は耳を疑いながらも画面を確認しなおして絶句する。

 確かに、一子さんの顔は便座に擦りつけられて

有彦の手とサンドイッチな状態になっている。

 よく考えたら給水タンクの底なんて便座に手を付いたところで、

顔を映し出せるほど高い位置にはない。

だから有彦が力ずくで、カメラの撮れるところまで押し込んだって言うのか、

嘘だろう、アレでは完全に髪が便器に浸かっちゃってるぞ。

 『・・・・・・・あ、お前、こんなものまで仕掛けて・・・・。』

 一子さんがおもむろにカメラ目線で呟いた、隠しカメラに気付いたらしい。

いや、今までの様子を見ていたら、気付かせるために

あのような暴挙に出たことは容易にわかった。

 一子さんの眼が焦点を失ってトロンとし、

頭程度しか触れられてないのに、息が荒いで肌に赤みが差す、

彼には、そうしただけで彼女がこうなってしまうことを知っていたんだ。

 『・・・・・・・・・アンタもこの方が燃えると思ってね!!!』

 肯定するように言った瞬間、とうとう有彦の手が彼女の大事な部分を貫いた、

ヒッと仰け反ろうとした一子さんの頭を再びもう一方の腕が押さえつける。

たぷん、たぷん、たぷん、

リズミカルに打ち付けて美尻が踊る肉の音、

直接秘部をいたぶる場景は給水タンクの方からは影になって伺えない、

だがその代わりにカメラはしっかりと彼女の表情を捉え、

体の芯から揺り動かされ、目まぐるしく色を変える表情の歪みが

俺たちにはばっちりと堪能できた。

 『なんだよまったく、ここまでしてやってるのに全然濡れないじゃないか。

・・・・・・・・・しょうがないな、こっち向けよ一子、』

 膣の中に引き摺り戻そうとするほどのネトネトした糸を引きながら、

有彦は言った。

 また再びアングルが有彦視点に変わって、

床を写すカメラが拾い上げられて急速上昇すると、

映像には既に便座に中腰して惜しげもなく総てをさらす彼女の姿があった。

 和式便器なら全然理に叶っているその体勢も、洋式の便座の上では

まったく別のいやらしい印象だけしか受けるものはない、

 予想通り便器の水に濡れた髪の毛は毛先がピッタリくっついて、

豊満な胸に張り付き、

さっきまで執拗なまでに攻められた陰部は明らかに小水以外のものを

トロトロ垂れ流しつつ、何にも守られることのない無防備な痴態を

カメラの、衆目の前に晒していた。

 それは今更言うのも馬鹿らしい位、いやらしかった、

日頃麗しく気高いモノが、隷属として麗しいものに落ちゆく様が

不浄な物に擦り尽くされ

人の尊厳すらも汚されたかのような一子さんの姿は、

女であるシエル先輩の目すら虜にして離さないほど、惨めであればある

ほど愛しかった。

 『よし、じゃあ小便してもらおうか。』

おもむろに投げつけられた命令に、一子さんはビクリとして相手を見上げる。

 『当り前だろ、お前の湿り気が悪いせいで

このまま入れても磨れるだけなんだ。

だからお前が責任もって俺のものを通り易くしないとな、

愛液が出ないなら、小便を出してでもよ。』

 うわ鬼畜ですねえ、とシエル先輩が及び腰で言った。

まったくだ、有彦の奴いつの間にこんなテクを身に付けたのか、

 『うそ・・・私、もうヌレヌレだよ、

こんなに濡れてれば入れても痛くないからぁ・・・・』

 一子さんは弁明するように、汁気にまみれたクリトリスを自らの指でしごく、

しかしその手は逆に蹂躙者によって掴まれ、したではなく上の口に

強引に詰め込まれた。

 『ふぐぅうん・・・・・!!?』

 『バカ、誰が勝手に触っていいって言った、

主人であるこの俺が濡れてないって言ったら、奴隷のお前もそれに従うのが

当然なんだよ、

 お前は黙って俺の命令どおり小便ひり出せばいいんだ。』

 『・・・・・・・・・・・ふぇも・・・・おひっこなんふぇ、さっきだふぃたばっかり・・・。』

 『ちっ・・・しょうがないな、』

画面の外の下方から、ジッと言うファスナを降ろす音がした。

 主人が奴隷に対して、

彼女をいたぶるに、最も効果的な切り札が投入されたことは容易に

想像できた。

 口から手を離し、一目散にむしゃぶりつこうとする一子さんの前髪を

鷲掴みにして後ろの方に押し戻す。

画面の中の有彦はいつもの4倍以上は乱暴で、一子さんもそれに対して

驚くほど従順だった、しかも喜びを持って、

 『お前のが出ないなら、仕方がないから俺が手伝ってやる、

足をもっと広げな。』

 言われたとおり一子さんは足を広げる、当然彼女の一番大事なところは

さらに露わになって、よりはっきりと見え易くなった。

 いや、狙いがつけやすいというコトらしい、

 シャァァァァァァァァァ

と言う音と共に、画面の外から一子さんの秘部に向けて水柱が飛ばされて、

一子さんは陶酔とした顔になった。

 考える必要はない、奴の方が放尿をしだしたのだ。

画面から確認できたのは黄色い水柱だけだったが、それは狙いを定めたよう

に一子さんの秘部に命中し、そこからボタボタと便器の底へ消えていく、

 茂みにぶつかった男の小水は勢いを吸収され

周囲に飛沫を飛ばすことなく、

ボトボト情けない勢いで落ちていったのだ。

 その滝は見ようによっては茂みの底から溢れ出いているようで、

他人から穢れた液をぶちまけられながら、自分も感極まって失禁しているよう

に見えて琴線を刺激された。

気高い一子さんの麗容が羞恥に汚される、

 黄色の軌道は何を思ったのか急に射角を上げて、一子さんの陰毛だけで

ないその上の部分すら汚し始めた、

腰から、小さなヘソの窪みをつたい、胸、鎖骨、首筋と、

最も屈辱的な部位に放水が近づくにつれ、一子さんの顔は狂喜に

染まっていった。

 もはや毛先だけでなく美しく染めた赤毛が余すところなく尿水に犯される、

個室に充満するアンモニア臭が、ここまで匂ってくる気すらする。

 そうこうしているうちに、シャワーはとうとう彼女の美しい顔を直撃し、

水玉の飛沫があちらこちらに撒き散らされた。

 『いいぞ。』

 うめくような声が言った。

だが一子さんはそこまで端的な言葉すら終わりを見る前に、

黄金の水流に逆らってその発射元にむしゃぶりついた。

一層激しく撒き散らされた飛沫が脱ぎ捨てたシャツやジーンズや下着にすら

付着する、でも彼女はそんなコトに全然構わず、

いきりたったペニスを、いまだ放出の勢い収まらないオシッコ諸共

飲み尽くそうとしているのかのように激しく吸い上げた。

 彼女の体は完全にオシッコまみれで、

どんなに妖艶なプロポーションをしていても、鼻が曲がって誰もよりつけない

だろう、もう彼女を犯せて、自由に弄べるのは彼だけ、

 俺の脳裏に、不意に犬の『マーキング』と言う単語が浮かんだ。



 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふー。」



 饗宴はいまだ画面の奥で続いていたが、

とりあえず俺は、張り詰めていた空気に逃げ場を作ってやるかのように

息を吐いた、

いや、吐き出さずにはいれなかった。

 いくらなんでもここまでアブノーマルな内容に付いていくには俺の精神は

荷が重過ぎて、これ以上自分を弓のように張り詰め続けていたら、

そのうちボッキリ折れて逝っちゃいそうだと危険を感じ、

隣のシエル先輩から少し距離を置いた。

 「あぶねーって、絶対ビデ論引っ掛るって。」

 それはお隣も同様らしく、

先輩は水をすくうような形に合わせた手をぴったり口に被せながら、

依然顔を真っ赤にしつつ、狂乱収まらぬシアターに喰い付いていた。

合わせた手の隙間から、おっかなびっくり「きゃっ」なんて声が漏れてくる、

いつも落ち着いて飄々としたシエル先輩にしてはかなりの初々な表情は、

俺の視線を暫し画面から真横に釘付けに

するには充分に可愛かった。

 ・・・・・・・・ん?いかん、俺の獣欲の方が不必要にチャージ、

しかしそれはダメだろう志貴よ(自問)、いくらこんな激しい行為を目の当たり

にして押さえが利かなくなってきたとして、一発抜くとしても

隣に女の子がいるからついでにそれで発散させてもらおう、

というのはあまりに酷すぎるではないか。

 それでは画面の中の有彦と同じ、

先輩は俺の性欲処理のはけ口ではないんだぞ、と戒めるのだが、

かといって我が身をほとばしる熱いパトスは今にもくびきを引き千切りそうで、

出口を開け放ってやらねば収まりが付きそうにない、

あー!一人なら即座に自己処理が可能なのに!!

俺が一人少年のサガと格闘していると、それに気付いた先輩がポツリと呟いた。

 「苦しい、ですか。」

 先輩が小首を傾げる、

その仕種は子猫のように、それなのに腰のくねる動作は妖しく扇情的、

表情は無垢、腰つきは妖艶、

まるで、俺を誘うように、

なんでこの人はこうもアンビヴァレンスな動作を一緒くたにできるんだろう、

パーフェクトジオングかこの人は。

 「爆発しそうなんでしょう?遠野君

だったら、私がお相手をして上げましょうか、」

 してあげましょうかもなにも、先輩は俺に狼狽する暇すら与えず、

既に四つん這いに擦り寄って俺のエリアを占領しつつあった、

一子さんの醜態に触発されたのは俺だけではないらしい。

 無論こっちだって爆発寸前なのだが、

シエル先輩も前足と化した細い腕は、足運びがいちいち流麗で本物の猫科

のしなやかさを連想し、

さらに後ろ足も左右が前に出るのにあわせてお尻がくねり、

もし彼女に尻尾が生えていたらさぞ優雅に揺れて主の行進を演出すること

だろうとか予想できてしまう。

 要するに今の先輩の構成素は大部分が雌だった、

そして、俺も既に半分以上が雄となっている。

二人がそう様変わりしたのはあくまで一子さんが原因なのだが、

結果的に雄と雌が出会えばすることは一つっきゃない。

 「・・・・・先輩、俺一応我慢しようとしてたんだからな。」

 「はい、遠野君は優しい男の子ですから、

でも女の子だって我慢ができなくなるのは同じなんです。

 オシッコまみれにされるのは勘弁ですけど、

私だってあんなに滅茶苦茶されて、気持ちよくなりたい。」

 と、先輩が指差した先には、

喉を突き破れと言わんばかりに、ペニスを口内に撃ち込まれる

一子さんがいた、

もはや膣を犯すのと変わらないぐらいのピストン運動で

口から男根が激しく出入りし、その勢いに形のいい胸が痛いほどに揺れる、

 眼からは涙が一筋二筋、それが苦しさから滲み出るものか

快感の極みから溢れた感涙なのか判らないが、

それで俺は切れた。

 もうあんなピンナップドラックなぞで満足できるものか、

実際目の前にいる、触れば暖かくて柔らかいシエル先輩を前にして

アレぐらい激しく愛でてやらなくてなんとする、

 そう決めた俺の行動は光より速く、

既に俺の体に覆い被さっていた先輩を逆に押し倒し、

スカートの中に手を突っ込むと中のショーツを真っ先に剥ぎ取ってどこぞへと

放り投げた。

四の五の言わずに先輩のアソコを貪る、

スカートの中に顔を潜り込ませ、頭ごと餌皿に突っ込む犬の如くに、

 「あくっ!!!!・・・・・はっ・・・・は、は、はぁぁぁっ!!!!」

先輩もまた、俺をより深く引き込むように両足でスカートの中で蠢く

俺の頭を柔らかい太腿で強く強く絞り上げた。

 ムードも何もない、ただ互いを求める欲求、

一子さんによって昂ぶらされた俺たちの獣欲は今度は互いの挑発によって

止まる所なく上昇し・・・・・、

 「・・・・・・・・・・・・・・・・涅槃?」

そして意識を失っていた有彦が転生した。

 「「うわはぁーーーー!!?」」

俺も先輩もビックリしてお互い茶室の端と端まで弾け飛んだ、

ビックリした、ビックリしすぎてもう少しで先輩のクリトリスを噛み千切る

ところだった。

んなことになったら例え結婚したとしても責任を取りきるのは無理だろう。

 「ふぃー、流石に脳内酸欠10分強からの復活は骨が折れたぜ。」

自力で復活してきた勇者は誇らしげに語る。

 「有彦・・・・・・おま、おまっ・・・・・・。」

 「何をしてるんですか有彦君!!!

実のお姉さんにあんないやらしい行為を働くなんて!!」

 動顛した俺を差し置いて、いきなり抗議の声を上げたのは

シエル先輩だった。

 自分らの逢瀬を目撃されかけたところ棚に上げて、お家騒動を引き合いに

出すとはさすが先輩、議題のすり替えなどお手の物だ。

 「ああ、アレですか、はははははは・・・・・・・。」

 「笑って誤魔化しても受け付けません、

あんな不衛生な・・・、人を人とも思わない行為!!

しかも血を分けた兄弟相手とは、鬼畜の所業ですよ!!!」

 抗議を真っ向から受ける有彦は頬の汗をぬぐいつつタハハと笑う、

しかしその汗を拭き取る布が、

先ほど俺がポイした先輩のショーツであることは、最後まで誰にも気づかれ

ないことを祈りつつ黙殺した。

 「・・・・あの、先輩一つ勘違いしてませんか?」

有彦が苦笑混じりに言った。

 「姉貴をやってるの、俺じゃないっスよ。」

 「ええっ!!?」

先輩共々、画面に喰い言ってしまう俺、

 「そんな・・・・まさか・・・?」

 「いや、でも確かにハンディカメラからは採ってる本人の顔が映るわけ

ないし、隠しカメラも位置関係から見えるのはせいぜい胸下までだったろ・・、

一子さんはともかく、男の方は一回もカメラに顔を出してない・・・。」

 それに加えて、よく聞いてみると男の声はなにやらボソボソしてて、

声から身元を割り出すどころか、有彦かどうかの二者択一すら難しそうだ。

 ハメ撮りの恐ろしいところだ、

これならモザイク等の編集処理を一切加えず配布することもできる、

・・・・・・・・イヤイヤ、

 「これはさ、昨日姉貴の部屋を物色してたら偶然出てきたヤツでさ、

姉貴ってあれでかなりマゾッ気あるから、こういうヴィデオ自主制作してたらし

いのは知ってたんだけど、俺だって実際見つけたのは初めてでさあ、

 それでお宝ゲッチュとここまで持ち去ってきたと言うスンポーよ。」

 英雄譚の如き緩急で語る有彦君、

・・・ってそれやばくない?帰ったら君の命の保障ある?

 「じゃあ、この男の人って誰なんでしょうか・・・?」

あの一子さんを思いのままにヤリまくっているスゴイ男のことだろう、

なんかまた話が違う方向へ依ってきた。

 「・・・・・・さあぁ?彼氏だったとしても一子さんのその手の話

なんて聞いたことないし・・・。」

 「ふぅうん〜、ホントかなあ遠野君〜?」

 「な、なんだよ有彦、悪徳勧誘員の如き二ヤケ顔で。」

 「ま、そういう態度ならってことは気付いてないってことだろうがよ、

ま、よく見てみなもうすぐ真犯人が明らかになるから。」

 有彦が促すAVシーンは、

既に挿入が果たされてクライマックスとなっていた。

便座に座ったまま正上位で犯され髪を振り乱す一子さん、

ただでさえ熱のも盛りそうな個室で全身から汗が噴出して、さっき噴き掛けら

れた尿はすべて洗い流されたようにも見えた。

 『有間っ!!!・・・・・・・イイよ有間!!!!』




 ハ!!!!!?




 「・・・・・・・・・・・・・・・有間って確か・・・・・・・。」

 先輩、ワナワナ。

 「はい、今でいうところの遠野ですな。」

 有彦、ワクワク、

そして俺はワホワホというかワギャンワギャンというか、

とにかくそんな感じだった。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あー、

思い出した、思い出した、思い出した。

そういや一年ほど前に、普通のプレイに飽きたとか言い出した一子さんに

なかば強制的につき合わされたんだっけ、

 責められるのがいいとか、手加減するなとか言われて、

敬語も禁止にされて、それでつい俺も興が乗って日頃では考えつかなそうな

ことをしてしまったというか、

若さゆえの過ちは認めたくなかった。

 「いやさー、流石に姉と親友のSEXで五回も抜いちまったさ、

こうまで虚しくなっちゃー、それを当人にもお裾分けしないわけには

行くまいて、な?遠野。」

 今日ほどコイツを殺したいと思った日はなかった。

有彦はいつもの悪戯っぽい態度をそのままに、してやったりと笑みを

洩らしている、

 だが、今回の『してやったり』は受動者の側に回れば

『やられたわ』という暇もなく木っ端微塵にされたような状態だったのだ。

 後ろを振り返れば、微笑のまま固まっているシエル先輩、

 ・・・・・マリア様の笑みを顔に浮かべたまま、彫像のように固まっている。

これが本当にマリア様の彫像であれば何の問題もないのだが、

本人は明らかに生身の人間である、

 一瞬あと、その顔が仁王にも般若にも変わることだって

人間の幾数千万本の筋肉繊維にかかればいかなる芸術施行も敵わない、

 何も起こらない、ただ、緊迫と言う名の静寂が続いている。

スピーカーからアンアン漏れる一子さんの喘ぎ声だけが、

やたらとうっとーしかった。

 「あ・・・・・あー・・・・・・・あぁ〜・・・。」

あの、先輩。という言葉がどうしても言えない。

 「・・・・・・・・なるほど、遠野君は機を見たら私もオシッコまみれにする

つもりがあったんですね?」

 「そんなわけないでしょう!あれは若気の至りですよ至り!!」

 「まあそのことについては、これからじぃっくり話し合いましょう、

というワケで有彦君、私たちはこれで失礼します。

それとその布キレは私のなんで返してくれませんか?」

 先輩は有彦の手にあるショーツを指して言った。

うわー!!ばれてるしー!!!

 その後、俺とシエル先輩がどのようなことになったのか、

また、有彦は一子さんにどのような処刑を受けたのか、などは

ここで語るべきではないだろう。

 ただひとつ言えることは、

こういうのはあんまり記録に残すべきではないというコトだ。


                         END